コズミックブレイク2
シャイニングスターメモリーズ ≪ 予告編 ≫

クリムはそっとまぶたを開いて様子を窺った。するとすぐにデルビン兄弟の「ぎゃっ!」という声が聞こえ、黒く長い尻尾のようなものが視界に入った。

「痛ってぇ! いきなり何するさぁ!?」

「それはこっちの台詞よ! 女の子を恐喝するなんて、コスモリーガーの風上にも置けないやつらね!」

勝ち気な声がしたことで、クリムは尻尾だと思ったものが、目の前にいる見知らぬ少女の髪であるということにようやく気付いた。

「大丈夫? 怪我はないわね?」

吊り目がちな紫の瞳がクリムへと向けられる。クリムが黙ったままで頷けば、少女は再び前を向いた。動きにあわせて、艶のある漆黒のサイドテールが揺れている。

「しっかりしなさい。あなた、こいつらに騙されてるわよ?」

「……え? どういうことですか?」

「こいつらデルビン族は、せこい手を使うことで有名な種族なのよ? 知らないの?」

予想もしなかったことを告げられ、クリムは瞬きを繰り返しながらポカンとしていた。すると少女は念を押すように言葉を続ける。

「大体ねぇ、ロボはヒュムよりも頑丈だから滅多なことでは病気にならないのよ? 動物型ならまだしも、こいつらみたいな機械型じゃあまず有り得ないわ」

少女が話すごとに、デルビンの兄弟はロボアイを明滅させながら目に見えて落ち着きをなくしていく。その様子を見て、クリムもようやく少女の言うことが事実だと理解したようで冷や汗を流していた。

「ってことは……私、もしかして……」

「こいつらの嘘に、まんまと騙されていたってわけ。大方、自分よりも弱そうなやつを狙っていたんでしょ? 噂に聞いた通りとはいえ、ここまでせこいと見ているこっちが恥ずかしくなるわ」

「何だとぅ!? 女のくせに生意気じゃん!」

「思い知らせてやるさぁ!」

兄弟が同時に飛びかかってくる。少女も背負っていた大剣の柄に手をかけて応戦の構えを取ったそのとき、双方の間へ割って入るかのように青白い光が伸びた。光はそのまま空間を貫いて、付近にあったゴミ箱の上に置かれていたジュースの缶に命中した。

「……速射性能、照準精度ともに問題なし。狙い通り」

淡々とした声がして、クリムを始めとする全員が振り返る。
真っ先に目に入ったのは、青白いスパークを発している銃口だ。その向こう側でこちらを見つめているのは、清水のように透き通った水色の瞳。身の丈ほどはあろうかという巨大なレールガンを構えていたのは、白色のボディスーツに身を包んだ少女だった。少女の背中では、三つ編みに結ばれた水色の長髪が揺れていた。

「リーグ戦以外での戦闘行為は禁止されているはず。これ以上続けるつもりなら、コスモリーグの秩序を乱す者として運営に通報するけど、いいの?」

口調は淡々としており、無表情と相まって非常に感情が読み取りにくいのだが、それがかえって得体の知れない迫力を醸し出している。少女の迫力に恐れをなしたのか、兄弟は「ひぃ〜!」と悲鳴を上げると地面を転がりながら一目散に逃げていった。

本編は4月23日の公開を予定しています。